カルコンBFSのクラッチについて書いたコラムが好評のようなので、ここでもう少し突っ込んだカスタムクラッチのお話をさせて頂きます。
完全な機能部品でもなく、いまいちドレスアップパーツともいえないクラッチについての思いを書いてみました。
修行
みなさんこんにちは、ほぼフリッパーのカケヅカ(@kakedukzss)です。
先日書かせてもらったHEDGEHOG STUDIOへのコラムが予想外に好評だったようなので、今まで作ってきたクラッチを振り返ってみたいと思います。
もともとクラッチの製作については、自分的に修行という位置づけでした。
というのも、このパーツを作るには自分のスキルというか、経験がなさ過ぎたんですよ。
マシニングセンタを触ってからまだ三ヶ月という時期だったので、まともにマシンを動かすのもままならなかったので(笑。
一番最初に作ったクラッチは旧Abu Revo LTX用でした。
これは正直ノーマルパーツから寸法を取って、できるだけノーマルに近い形を目指したんですよね。
とにかくメチャメチャ苦労したのを覚えてます。
少し味付けでピンホールを設けたり、ブランキングしたりして、なんとかノーマルと見た目を変えたんですが(汗っ。
ハッキリ言って作った手間と時間を考えると、販売の値段を遥かに超過してました(笑。
そこはHEDGEHOG STUDIOの社長も泣いてたと思います。
フィッシングショー大阪
Abuのクラッチを作ってみて、このパーツの難しさを痛感していた時に、ある出来事があって急にモチベーションが復活してきたんですよ。
それがフィッシングショー大阪2014でした。
客としてではなく、メーカースタッフとして始めて大阪の会場入りして、直接関西のお客さんとお話してる中で、クラッチにすごく興味を持ってもらってる事がわかったんですよね。
Abuのリールについては、ボディーに互換性があるモデルが多いので、それほど種類がいらなかったんですが。
Daiwa・SHIMANOのリールでは機種によってクラッチも様々で、一つのモデルに一種類のクラッチを作るのは無理だと思ってたんです。
でも、ご自分の使ってる機種にカスタムクラッチを作って欲しいという要望が多く聞かれたんですよね。
欲しい人は本当に熱望されてたので、これはもっと作らなければ!と思い知らされたんです。
そこで奮起してSHIMANO・Daiwa系のリールにもチャレンジして、13メタニウムやカルカッタコンクエスト、09(12)アルデバランなど、左右非対称のクラッチも、左右別々に作ったりしたんです。
これにはすごい閃きがあって、神がかり的にアイデアが降ってきたんですよね。
それは後で書きますが、そのおかげで今のクラッチに繋がってるんです。
2014年は頑張って一気に5~6種類のクラッチをデザイン、製造しました。
それを見てもらって、翌年のフィッシングショー大阪2015では、ブライトリバーの藤原さんから声をかけて頂いて、コラボクラッチの製作へと展開した訳です。
ものづくりの神光臨
話は戻って2014年のフィッシングショー大坂が終わった3月です。
Abuの次に手がけるクラッチを当時玉数が出ていた09(12)アルデバランに照準を定めて製作を開始したのですが、これが難航しました。
当然自分の経験値の無さが原因なんですが、基本デザインが決まらないんですよ。
Abuのクラッチの時のも悩んでたのですが、滑らかな曲線をどうやって削ったら良いのかまったく想像が付かなかったんですよね(泣。
でもある時、ほとんど偶然的にアイデアが降ってきまして。
今までと削る方向を90度変えて、材料も角材から丸材へと変えてみたんです。
↑画像はタトゥーラのクラッチ
使う刃物も全然違うものにして、削り方も条件を思いつくままに試してみました。
それまで苦労したのがウソのようにあっさりとプロトが完成。
HEDGEHOG STUDIOの社長に見せたところ、かなり驚いてたのを覚えてます(笑。
2017年3月現在は、当時に比べて知識も経験もアップしてますが、未だにその時のアルデバラン用クラッチは完成度の高いものだと思ってます。
逆に言えば、まだその時のクラッチを超えるものがないという(苦笑。
それだけ完成されたクラッチになったんですね。
14カルカッタコンクエスト101
自分の中でいつかは使ってみたかったリールがカルカッタコンクエストです。
SHIMANOファンの自分としては、ステラとカルカッタコンクエストは憧れのリールであり、でもそう簡単には手が出ないものでした。
なんせリール一台分の値段で、安いロッドとリールが買えてしまいますからね。
そのくらい高級なイメージのリールであったカルカッタコンクエストですが、なぜかクラッチが樹脂製だったんですよね。
そうなると当然次のカスタムクラッチのターゲットはカルカッタコンクエスト用という事になります(笑。
まあクラッチを作るからという名目で、経費で一台購入できると思ったのはここだけの話ですが(笑。
手元に来た14カルカッタコンクエスト101は見た目の剛性感もすばらしく、性能だけではなく所有欲も十分に満たしてくれる逸品だと思いました。
と同時に、このリールに見合うクラッチとなると、中途半端なものは許されないであろう事は容易に想像が付いた訳ですが(汗っ。
オフセットクラッチ
14カルカッタコンクエストのクラッチを作る上でのコンセプトはオフセットにしました。
ノーマルだと自分にはクラッチの位置がやや高いように感じたんですよね。
これは合わせるロッドにもより、先に書いたブライトリバーさんとのコラボクラッチのように、わざわざハイポジションにする場合もあるんですよ。
自分はSHIMANO EXPRIDEのような今時のロッドを想定したので、丸型リールにオフセットクラッチというのは相性が良いと考えたんですよ。
じつはこれが今の17カルカッタコンクエストBFS HGにはさらにマッチしていて、小径スプールとオフセットクラッチは違和感なく使えると思います。
デザイン的にはまよったんですが、ここではピンホールよりもR面をシンプルにして、その代わり側面に細工を施しました。
クラッチは指を置いてしまうとR面は見えなくなってしまうので、キャストの時にハンドルを下に向けた時み見える面に細工をしてみたんですよ。
まあこれは好みの問題もあるかと思いますけどね。
そのあと作った01カルカッタコンクエスト用はR面にピンホールを設けてありますが、どっちがお好みでしょうか。
さて、クラッチの話はもう少し続きます。
マニアックな話でつまらない方もいるかもしれませんが、もう少しお付き合い頂けると幸いです。
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